これからグラフィック・webデザイナーを目指す、または転職しようかと考えているあなたへ。どんな企業に就職するかもう決めていますか?
会社と恋人は懐に入ってみないとわからない、とはよく言いますが、ある程度自分の性格や方向性にマッチしているところを選びたいですよね。
個人的には、会社の社長さんは全員ストレングスファインダーを受けて公開した上で「こういう資質を持つ人に来て欲しい」と呼びかけたらミスマッチは減るんじゃないか、とは思うんですが。
ま、そうも言っていられないので、求人の限られた情報からジャッジするしかありません。
その中でデザイナーの種類は、大きく分けて2つに分けられると思います。
それが「インハウスのデザイナー」と「制作会社のデザイナー」です。
順に見ていきましょう。
インハウスは自社のサービスや商品を作るデザイナー
いま僕がいる会社は、美容・健康関連の商品を作っています。その商品のパッケージ・LP・サイト・バナー・カタログ・同梱物・DMなどを制作するのが僕のメインの仕事です。
つまり、「商品自体と、その商品に関わるビジュアル全般を作る」というのがインハウスのデザイナーです。
それは事業会社やサービス会社でも同じで、商品がサービスに変わっただけ。
会社によっては、アプリなんかも作ったりしますね。そう言った意味で、うちの会社は紙もwebもやるので普通のインハウスよりも幅広いかもしれません。
さて、そんなインハウスデザイナーですが、メリット・デメリットがともにあります。
メリットは福利厚生の充実・制作以外にもチャレンジできるところ
僕が制作会社からインハウスに転職して一番ビックリしたのが、福利厚生がめちゃくちゃ充実していたこと。
具体的に言うと、
- ボーナス
- 有給
- 健康診断
- スポーツジム
- インフルエンザの予防接種
- ドリンク飲み放題
などがあるということです。
特にボーナスと有給は、以前まで「は?なにそれ」状態だったので….
大企業だけの特権かと思ってましたが、一般企業とかでもあるところはあるんですね。
非常に助かります。
以前よりも、嫁に感謝されるようになりました(笑)
予防接種や健康診断も非常に助かります。30過ぎて家庭持ちだと、病気のリスクが一番怖いので…。
もちろん、これらは全て会社によって有る無しがあります。
また、インハウスのデザイナーだと制作以外のことにも色々チャレンジすることができます。
例えば僕で言うと、商品のプロモーション企画や会社全体のブランディングなどの提案をしています。
もちろん自分の仕事をこなした上で、ですが。
こちらも会社の風土によるのかもしれません。
デメリットは、スキルや流行のキャッチアップがしにくいところ
制作会社ほど、様々な企業とからんだり打ち合わせに行くことがないので、基本的にずーっと社内にいます。
新しい価値観や人、事柄などに触れる機会が少ないので、刺激は少ないです。
ある意味、村社会のように閉鎖された空間なので、情報も遮断されてしまうというのがデメリットかもしれません。
そういったときはビジネスマッチングアプリ「yenta」などを使い、外の世界と交流しましょう。
またツイッターなどを使うことでも、新しい情報や流行のキャッチアップは可能です。
どんどん活用しましょう。
制作会社は、企業から依頼を受けて作るデザイナー
メーカーや事業会社はデザイナーを雇っていない、または雇っていても人手が足りていない、ということがあります。
その場合は、外部の企業に依頼します。
広告代理店であればブランディングからSP広告まで一括で請け負ってくれるため、大きい企業の場合は電通さんや博報堂さんアサツーディケイさんなどに仕事がまわってきます。
広告代理店の手が回らない仕事や、小さい仕事などを請け負うのが制作会社、という位置付けです。一般的には。
中にはクライアントと直で取引している制作会社もあります。
僕がいた制作会社もクライアントと直で取引することがありました。
大きな仕事だとコンペなどで取引できるかどうかが決まるため、非常にシビアです。
メリットは多種多様な業界知識がつく、クライアントに鍛えられる
入社する会社にもよりますが、クライアントのジャンルは様々。僕がいた会社では化粧品、健康食品、学習塾などがメインのクライアントでした。
化粧品業界や学習塾業界のことは何一つ知らない状態でしたが、業務をこなすうちにかなり詳しくなりました。
また、クライアントの中には
「俺がデザイナーを上手にコントロールしてやるぜ」
とか、
「どうせ代わりの制作会社は沢山いるからこき使ってやろう」みたいな考えの人もいるので、かなり鍛えられます。
終わらない修正、迫る締め切り、後ろ倒しにせざるを得ない他の案件、急かすクライアントと印刷会社、帰れないことに怒る嫁の声….思い出すと、すこし胃がキリキリしますが、この経験があって今の僕があるとも言えます。
まぁ、まだそれほどのもんでもないですが….。
スキルや仕事に対する考え方、姿勢、ストレス耐性などがレベルアップするのは間違いないでしょう。
デメリットは労働環境や給与が良くない
その代わりに労働環境は良くありません。2徹3徹当たり前、時給換算なんかしたら一気にやる気が失せるレベル。
僕がいた制作会社は、ほぼ未経験で中途の僕には分不相応な給与をくださっていましたが、周りの話を聞くと本当に安いところが多いです。
給料が安くても労働環境が辛くても、毎年多くの人間がデザイナーという職に憧れて入ってくるため、企業側に有利な状況ができてしまっているのかもしれません。
電通の過労死事件があって、ようやく企業も労働環境を見直すようになりましたが、それも大きな企業と一部の優良企業だけ。
中小企業の多くでは、未だに過酷な労働環境で働いている人が多くいます。
個人的にはモーレツ団塊世代の人間が定年などでドロップアウトしていくことで、もっと効率的な働き方にシフトしていくのではないかな、と思います。
無理そうな仕事量をふられても評価が下がることを恐れて、つい「頑張ります!」と言ってしまいがちですが、それで納期が遅れたりクオリティが低いものを出してしまうほうが逆に評価が下がります。
きちんと睡眠をとって、パフォーマンスを重視した働き方をすることで、生産性を高めましょう。
制作会社とインハウス、どちらがいいかは将来自分がどうなりたいか
結局、自分がどういう方向を目指すかによって、いるべき会社を選ぶべきだと思います。
「将来自分の名前だけで仕事を取っていきたい」
「俺は佐藤可士和氏を超える」
「有名広告賞を取りたい」
といった野望をお持ちなら、制作会社やクリエイティブエージェンシーなどでとにかく多様な案件に関わってスキルを磨くのもアリです。
逆に、
「事業を育てたい」
「デザイン以外のことにも関わっていきたい」
「ベンチャーを大きくして株式上場、売却益で金持ちになりたい」
という方はインハウスのデザイナーがいいかもしれません。
そして別にそれが正解でもありません。
インハウスのデザイナーでも佐藤可士和氏を超えられるかもしれませんし、制作会社のデザイナーでもデザイン以外のことに関わることができるかもしれません。
自分の想いは誰にもジャマされません。給与が安かろうと他業種との関わりが薄かろうと、自分のやりたいこと、叶えたい夢、楽しいと思うことが正解です。
でもそれだけじゃあれなので、どうして僕が制作会社からインハウスのデザイナーになったのかを少しお話します。
ヤマダカイトは、なぜ制作会社からインハウスのデザイナーになったか
僕の場合は、制作会社では把握できなかった「広告の効果」つまりコンバージョンを知りたかったのと、通販の仕組みを実務として学びたかったのでインハウスのデザイナーに転職しました。
制作会社だと、どうしても「作ったら終わり」ということがほとんどです。その広告からどれくらいお客さんが来たか、どれくらい買ってくれたかということを開示してくれるクライアントはごく一部でした。
でもなんか、それって自分の存在意義があるのかよくわからん!って思ったんです。だから広告の効果が一番わかりやすい、いわゆるレスポンス広告(web広告やDMなど)を社内で制作する必要がある今の会社に入りました。自分の会社ならコンバージョンは丸わかりですからね。
自分で作った広告や制作物の効果が、数字でわかってしまう。恐ろしくもあり、楽しくもあります。
そして制作会社のときに通販会社の仕事を請け負っていたため、そのビジネスの仕組み自体にも興味がありました。僕の妻はカメラの仕事をしており、いずれ地方で一緒に事業を立ち上げたいと思っています。
その際に、地方にいてもデメリットにならない通販という事業の仕組みに興味がありました。ブログもそうですが、働く場所を選ばないようにするために、というのが僕の行動基準です。
まあ、あとは社長に強引に誘われたというのも理由の一つですが(笑)
スノーピークの山井社長が言うように、それが熱量です。
楽天新春カンファレンス、株式会社スノーピーク山井社長の講演終わりますた。
①理念の重要性
②熱量の重要性
③損得軸ではなく好きで仕事をする
④プラットフォームを作る経営だけでなく、事業にも応用できる気がする。
— ヤマダ カイト@デザイン/ブログ/副業 (@slash_kaito) 2018年1月30日
人は、火に群がる蛾のように、熱量のあるものに引き寄せられる習性があります。
楽しそうにしている人の周りは人が集まりますよね。それに近い感じです。
結果的には給料も上がり、残業もなくなったので嫁が喜びました。それが転職して一番良かったことですね。
また仕事も順調に行くようになり、副業やブログなど、新しいことにもチャレンジすることができました。
本日のまとめ
たまたま僕の場合はインハウスのデザイナーが合っていただけで、どっちがいいとかはありません。
そのまま制作会社に残っていればそこでのベストな生き方を選んでいたでしょうし、別の制作会社に行けば、また別の生き方もあったかもしれませんね。
完全に人それぞれだと思います。
もし、今いる会社に違和感があるのならば試しに別の会社をのぞいてみたり、転職エージェントに話を聞いてみるのもいいかもしれません。
少し他の会社をのぞいてみたいな、という感じなら副業がおすすめ。
転職なら慎重に選びたいので、複数の求人サイトに登録して比較してみましょう。
またデザイナー経験の長い方は、独立という選択肢も視野に入れてもいいかもしれません。Midworksの独立支援なら、そこらのブラック企業よりも断然手厚い福利厚生があります。
世の中には働く人に優しい企業が、たくさんあります。これを読んでいるあなたが、素晴らしい会社に出会えますように。
それではまた。
コメント
いい記事。熱量を失わないように頑張る。外の情報はセミナー的なやつドンドン行っていい制度作りたいよね。