僕は一応デザイナーを名乗ってはいますが、さしてデザイン力が高いわけではありません。
いや、お客さんに満足してもらえるぐらいのクオリティのデザインはできますよ?!
ですが、これは….と唸るようなPhotoshopでの合成力も、ステキな写真をカメラマンさんに撮ってもらうためのディレクション力も、1mmを争うほどのフォント力やレイアウトへのこだわりもありません。
そんな僕ですが、会社では副室長という肩書を賜っております。(※2020年からマネジャーになりました。)
序列的には「社長-部長-室長-副室長-係長-主任」という感じ。まあ小さな会社なんで、序列そのものにはあまり意味がないんですが。
でも、僕個人の目標として「入社5年で事業部長になる」があるので、順調に出世しているのは嬉しいことです。
さて、そこで今回は僕が実践してきたデザインスキル以外の「デザイナーのキャリアアップ方法」をお伝えします。
具体的には以下の4つです。
・守破離を意識する
・仕事をつくる
・後進に任せる
・会社の目的に自分の目的を乗せる
簡単に言うと、「心の師を持ち、自分の目的しっかり持ち、自分で仕事をつくりだし、後輩にどんどん任せよう」ということです。
順に見ていきましょう。
①「守破離」を意識する
武道や茶道、歌舞伎の世界では、「守破離」という考え方があります。
「守」は先輩や師匠のやり方や型にならい、素人の状態からまずは一人前を目指すこと。
「破」は既存の型を破り、新しい自分なりのやり方を創意工夫する方法。
「離」は既存の型から完全に離れ、自分の型を作ること。
デザイナーの世界も、同じです。
誰でも小さい時からデザインに触れており、デザイナーの敷居も低くなりました。
現在では、徒弟制度もなくなりつつあります。ですが、やはり一定の型を教える指導者の存在は絶対に必要です。
一定の型、言いかえるなら「デザイナーとしての基礎」のこと。
いきなり自分のやり方からスタートしてしまうと、破る殻が自分の殻になってしまいます。自分のやってきたことを打ち崩して再構築するのは難しいこと。
会社の上司でも、憧れのデザイナーでもいいので心の中で「師」と崇める人物を定めておき、基礎的な部分はその人のやり方を徹底的に真似しましょう。
そして、そのやり方を改善していくのが「破」。
以前、こちらの記事でも書いた仕事の改善提案はもちろん、細かい業務の改善も「破」になります。
例えば、「会議では毎回レジュメを人数分印刷するのが当たり前だったが、プロジェクターにすることで時間と経費を削減した」。
これも小さな「破」です。
さらに、そこから離れて自分独自のやり方を極めようとするのが「離」。
例えば、先程の会議の例でいうと「プロジェクターだけだと、その場にいる人にしか想いを伝えられない。だからYouTubeに自分がプレゼンしている様子をアップし、社員・取引先だけでなくその企業への転職希望者まで誰でも見られるようにした」。
良いか悪いかは置いておいて(笑)完全に独自のやり方を追求しようとしていますね。独自のスタイルを作り出し、試行錯誤していく段階です。
②仕事を自分でつくりだす
言われたように仕事をするだけでは、今後できる仕事はどんどん減っていきます。AIができることはどんどん増え、その流れはますます加速するでしょう。
そうなった時、我々デザイナーができることはなんでしょうか。
それは、新たな仕事を生みだすことです。ゼロをイチにすること。これはAIにはできません。
ただ命じられた仕事をこなすロボットにはならないように気をつけましょう。大事なのは、自社の「益」になることを考え、能動的に実行していく姿勢です。
というと、なんだかコムズカシイですが要は誰かの役にたつことをしましょう、ということです。社長の役に、上司の役に、同僚の役に立つことを考える。
そうすれば、自ずとやることがわかってきます。
③後進に仕事を任せる
「守破離」で言うと「守」で、ある程度の型をモノにしてきたら自分ができることを、どんどん後輩や部下に任せましょう。理由としては3つあります。
リスクヘッジのため
自分だけしか理解してない業務があったとして、もし自分が病気になったり事故にあったらどうなるでしょうか。
極端な例ですが、いざという時のために自分ができる仕事は部分的にでも人に任せるようにしましょう。
人材育成のため
今やっている仕事を部分的に後輩や部下に任せ、徐々にその仕事を巻き取ってもらいましょう。
任せてみても、最初は逆に時間がかかるかもしれません。一週間や一ヶ月の単位で見たら、自分がやったほうが早いでしょう。ですが、仕事を任される中でで彼らは学び、成長機会を得られるのです。
長い目で見ると同じ仕事を複数人ができるほうが速いし、確実です。自分ができるようなったら後輩Aに教え、すると後輩Aが後輩B、後輩Cに教え…とネズミ算式にできる人が増えていきます。
それができると、組織は自動的に発展していきます。
自分自身のスキルアップのため
人に教えるためには、自分自身が深く理解していないといけません。
また、普段は無意識で行なっていることも、言語化しておかないと教えることはできません。
例えば、Illustrator上で円の形にマスクかける動作を教えるとなった時、やっている作業を思いだす作業が必要ですよね。
半角英数にしてLを押し、円のオブジェクトを写真の前面に作り、両方選択して⌘+7を押す….
これを自分の頭の中で思い出し、言語化してようやく教えることができる。
つまり、頭の中で復習してるということです。
自分の思考も整理されるし、あやふやなところがあれば調べ直す。結果、誰かに「教える」ということは自分自身の学びにもつながるのです。
④会社の目的に、自分の目的を乗せる
あなたは人生の目的を決めていますか?
がむしゃらに今期の売り上げや目標KPIだけを注視し、「なぜやるのか?なんのためにするのか?」が、おざなりになっていないでしょうか。
さらに言えば、会社の目的=あなたの目的ではありません。個人の目的は人それぞれです。
「会社の目的=みんなの共通の目的」で、「あなたの目的=会社の目的を達成する過程で叶える個人的なもの」です。
ワンピースに例えてみましょう。
●ひとつなぎの大秘宝=会社の目的
●海賊王になる=社長の目的
●世界一の剣豪、オールブルーを見つける、世界一の医者になる=個人の目的
●サニー号=会社
ということです。
わ゛か゛・・・ゴホンッ!!マーマーマーマーマ〜♪マーわかりやすい。
では、改めて問います。
あなたの人生の目的は何ですか?
それがしっかり定まっていれば、会社の目的にも意味が出ます。
例えば、「苦労をかけた妻に楽をさせたい→年収1000万を目指す→自社の執行役員がそれくらい→執行役員になるために→目標予算を達成し続ける」とか。
会社の目的が上場だった場合は、会社も経営者も社員も急激な成長を求められるでしょう。
しかし、成長に比例して給料も上がり続けます。上場を目指す会社と、年収1000万円を目指す社員。お互いにWIN- WINで、いい影響を与えられる関係です。
改めて、自分の目的と会社の目的を、すり合わせながら考えてみましょう。
リンカイ、またはコンカイのまとめ
今回は、デザイン力の低いデザイナーでも出世する方法を見てきました。会社によっては「能力絶対主義」で、デザインスキルが高い人ほど上に行く、というところもあるかもしれません。
ですが、基本的に人の上に立つというのは「役割が違うだけ」だと僕は思っています。
チームを管理したり、指導する力があったり、仕事を推し進めたり、決断力が高かったりすれば管理職には向いているし、なれます。逆にデザインスキルだけを必死に磨いてきても、上記の能力が低ければ管理職には向いていないし、そのチームは不幸になるでしょう。
まぁ、あまりにデザインスキルが低すぎても「頼りがいのない上司」と見なされるので、バランスが難しいところですが….。
ですので、「将来、デザインだけじゃなくアートディレクションもやっていきたい!」「マネジメントもしたい!」「ゴリゴリに出世したい!」という方は、上の4つを意識しつつ業務につくとよいですね。
本当はもっとたくさんあるんですが、基本的な部分のみピックアップしました。
さらに詳しくお知りになりたい方はこちら。
なぜ働くのか、どう働くのか、など「働く人にとっての全て」が書かれた一冊です。
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