どうも!ヤマダカイト(@slash_kaito)です。
先日参加した楽天EXPO2018で青山学院大陸上競技部を史上初の箱根駅伝4連覇に導いた、原晋監督の講演を聞きました。
箱根4連覇の秘訣ともいえるもの、それが彼が最も力を注いだ「強い組織をつくるための、仕組みづくり」だったのです。
そのチームチームビルディングの方法が、我々サラリーマンにとっても非常に参考になるものでした。
「部下のやる気を引き出したい」
「目標達成できる強い組織を造りたい」
といったチームリーダーや役職者、経営者のお役に立つのではないかと思います。
少し長いですが、レポートしていきたいと思います。
原晋監督率いる青学陸上部が、廃部寸前から駅伝4連覇するまでの道のり
原監督の来歴を調べてみると、とても面白い経験をお持ちです。
もともと陸上選手として高校・大学・社会人選手として活躍後、故障のため27歳で現役引退。
その後はサラリーマンとして中国電力で10年間働きます。
ここで「伝説の営業マン」として手腕を発揮。
約1000万円する企業用の省エネ空調を売りまくり、新規事業にも着手。
最初は5名だったメンバーを120名の大所帯に成長させたそう。
そして、ふとしたきっかけで青学陸上部の監督に就任。
これが箱根駅伝の出走経験なし・指導経験なしの元サラリーマンが陸上部監督になった瞬間です。
青学の幹部には「就任3年で出場、7年でシード、10年で優勝争い」と自らプレゼンしましたが、当初は選手のスカウトにも苦労し、3年目では予選会16位と惨敗。
「話が違う」と大学幹部に責められ廃部寸前までいきましたが、部員たちのサポートのおかげもありこれを回避。
その後、2008年に学連選抜のチームを総合4位に導いた手腕を評価され、大学からの支援を受けることに。
このおかげもあり、翌年には箱根駅伝に初出場。
翌年には8位と躍進し、シード権を獲得。そして就任11年目にして箱根駅伝初優勝を飾りました。
その後も優勝を続け、2018年には全国駅伝4連覇の偉業を達成します。
この偉業を達成するために原監督が行なってきたこと、それがチームビルディングなのです。
目指したのは「チームの理念を理解し、目標達成までの道のりを自分たちで考え、実践、反省できる組織」です。
要は自分たちでPDCAができる、ということですね。
PDCAサイクルとは
事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。
PDCAをチームに落とし込んでいくための4ステップ
いきなり「考えて行動できる組織」にはどうしてなれません。
原監督いわく「必ずこの4ステップが必要だった」とのことでした。
これを行うのに10年かかったのだと言えますし、これをやったおかげで強い組織が作れたのだと言えます。
見ていきましょう。
ステップ1 トップダウン
まずは監督ないしトップの人間が全員に対してやる事や考え、目標などを周知する方法。
メリットは目標達成が早いこと。
デメリットは一過性の成果しか上がらないこと。
トップがいなくなればすぐに組織力は弱まってしまい、自発的な組織には程遠いですね。
ステップ2 自覚期
次にリーダーを決め、彼が方針を決めたり全員に指示をする方法。
これをすることで、リーダーに自覚が生まれる反面、トップの方針が行き届かなくなります。
ステップ3 コーチング
そこで次にやるのが、リーダーを何名か立ててトップが彼らに問いかけを行う方法。
「なぜやるの?」「どうやるの?」「誰がやるの?」
各リーダーへのコーチングです。
これをすることで、縦横軸の関係性を考えるようになりチームに議論が生まれます。
自発的な組織まであと一歩。
自分たちで考え、実践して成長するからトレーニングが楽しくなる一方で、自主性と自由を履き違え、軽い空気が蔓延してしまうのがネックです。
そうならないようにトップがきっちり歯止めをかけ、理念や目標をしっかり伝え続けることが大切。
原監督は部員に語りかける時、流行りの歌の歌詞や有名人などの名言を引用して話すといいます。
そのほうが、彼ら20前後の若い部員には伝わるのだとか。
そのために気になった名言や歌詞などは、スマホにメモしているそう。
細かい努力ですが、こういった工夫が効いてくるんでしょうね。
ステップ4 支援型の組織へ
最後が、外部指導者も巻き込ながらトップ自身もサポーターとなる方法。
トップダウンからの完全な脱却です。
選手の自主性とチームの自立を促すことで、トップはサポーターにまわります。
ステップ1〜3との違いは、「トップがいなくなっても存続、成長が可能」な自立した組織だということ。
部分的に人が入れ変わっても理念はしっかりチーム内で共有されているので、組織としての強さは変わらないところがメリットです。
具体的に行なったこと
この4ステップを実行するのに、原監督が普段からしている方法をご紹介します。
朝の1分間スピーチ
青学陸上部では毎朝1分間スピーチを、持ち回りでしているそうです。
ルールは単純。
●1分間でまとめること。
●必ず最後は駅伝の話に落とし込むこと。
要はアウトプットの場を強制的に作ってあげると。
これ実に理にかなっているな、と思います。
アウトプットするには必ずインプットしなければいけない。
でもインプットする時間なんてないよ!と多くの人は言うと思います。
でもそんなん、みんな無いんですよね。
でも青学陸上部の選手たちはアウトプットできている。
しかも寮生活しながら、学校の成績もかなり良いそう。
どうしたらそんなことができるのか。
恐らくですが、常に「考えながら」勉強し、「考えながら」部活をして、「考えながら」日々を送っているからだと思います。
「考えながら」というのは、「どうしたらもっと良くなるか」「どうしたら目標に近づけるか」ということ。
つまり「工夫」ですね。
そのために常にアンテナを立てながら日々を送っているから、忙しい中でもインプットが可能なんだと思います。
逆に、アウトプットの場があるからこそ強制的にインプットせざるを得ないのかもしれません。
通常、1つのアウトプットのためには、その3倍のインプットが必要だと言います。
まぁ、タマゴとニワトリ理論でどっちが先かはわかりませんが・・・
1つ確実に言えるのは、アウトプット無きところにインプット無し、逆もまた然りです。
確実にこれのおかげだと思いますが、青学陸上部のメンバーはとにかくインタビューが上手。
考え、実践し、人に伝える、というプロセスを毎日している青学陸上部ならではの強みだと思います。
就職活動でメチャクチャ有利だな~絶対(笑)
目標管理ミーティング
さらに青学陸上部では月1回、5・6人のグループに分かれて目標管理ミーティングをしています。
先月の反省や目標設定、具体案を用紙に書き出し、全部員が見れるように掲示しておくのだそう。
それをもとにミーティングを行い、学年や能力に関係なく自由闊達に意見交換します。
これを各個人がしっかりとできるようになると、ステージ4でもうまくまわるようになるんですね。
会社でも同じようなことができると、より自分の役割や目指すべきゴールが可視化されて、目標達成が早くなりそうです。
原監督が大切にする10のこと
そして原監督は、これらをする上で以下の10個のことを大切にしていると言っていました。
時間がなく、全てを解説していなかったので補足は僕の言葉ですが….
30年後の自分を考える
30年後の未来を考えて、今やるべきことを考える。
半歩先の目標設定
遠い未来は、確実な半歩の積み重ね。一歩は無理でも半歩なら歩き出せる。
できる方法を考える
「できない」じゃなく「じゃあどうする」を考えることから未来が始まる。
本気だから悔しい
本気でやるから悔しがれる。人目も気にせず悔しがれるほど、何かに本気出してやっているか?
準備とこだわり
物事を成し遂げるには、準備とこだわり、この掛け算が大事。
大義をかかげ「3割理論」
好かれるのは3割でいい。
あとの3割には嫌われ、さらに3割にはどうでもいいと思われ、残りの1割はその他。
個人と組織の両輪で評価
一体感
怒るよりもアドバイス
上記3つについては解説されなかったので割愛します。
読んで字のごとくかと。
詳しくお知りになりたい方は、原監督の著作にて。
最後はなんとかなるさ
これだけ入念な準備と施策をした上で、最後はなんとかなるさ、でデーンと構える。
やるだけやって、ダメなら次の準備に備えるのが大切です。
まとめ
これ、まさに会社で言うところの「ビジョン(目標)・ミッション(使命)・バリュー(価値)」とその浸透の方法ですよね。
経営理念の作り方とほぼ一緒。
もはやクレドカードも作れちゃいそうな勢い。
クレドカードはビジョン・ミッション・バリューを記載したカード。
リッツカールトンのものが有名です。
スタッフは全員これを携帯し、朝礼などでも使うのだとか。
泊まった時に「クレドカードください」と言えば、もらえるらしいです。
そして、先日グットパッチさんのイベントでも同じような話を聞きました。
グッドパッチさんのイベント「デザイン組織の作り方」に参加させていただきましたー!
お話しさせていただいた方々、ありがとうございました。こういうイベント初めて行ったけど、スゴい刺激になる。特にタケテツさんのやってることが、かなり自分がやろうとしていることに近かった。#dm0709 pic.twitter.com/x7UZFTPmtx— ヤマダ カイト@デザイン/ブログ/副業 (@slash_kaito) 2018年7月9日
このあたり、ビジネスマンとしてかなり戦略的にやってきたであろう原監督のクレバーさが伺えます。
我々も普段、「どうして働いているんだっけ」「なんでこの会社にいるんだっけ」「私の本当にやりたいことってなんだっけ」と思うことがあります。
そういった時に、ビジョン・ミッション・バリューと目標管理をしっかりしていると、道に迷うことが減るかのかなぁと。
最初に必要なのは仕組み、あとは情熱なんだなというのがよくわかります。
原監督のやり方を参考に、いいチームを作りましょう!
本も出していて、かなり売れているそうです(笑)
今回の講演でお話されていたことが、もっと詳しく書かれていると思うので僕も読んでみます。
それではまた。
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